前回ブログでは、現代でも変性意識はちゃんと使われていますよ、ということをお話させていただきました。
変性意識が使われているシーン
今回は、もっともっと具体的に、変性意識がどのようなシーンで使われているかを見ていきたいと思います。
変性意識とは、人為的あるいは自然発生的に起こった集中過多あるいは意識レベルの低下による、通常意識とは違う意識状態になることであると書きました。
現時点で知りうる限り、変性意識研究(実践)の最先端、というか、体感として私にとって最もしっくりくる説明をされている苫米地英人氏の著書によれば、変性意識状態とは「常に入っているもの」であり、あくまでもそれを顕在意識に表出させ、自覚的に使うかどうかというだけだともいわれています。
例えば、催眠でよく使われる「R揺らぎ」(RはRealtyの略)。
簡単にいうと、自分が今行っていることを、相手に言語化された場合などがこれに当たります。
例えば、鉛筆を持っているあなたに対して「今あなたは鉛筆を持っていますね」と何気ない動作を言語化されてしまうだけでも、それだけで自分の意識が揺らぎ、現実世界と情報空間の垣根が曖昧になることから、(意識状態の)深さはおいておくとして、変性意識状態が生成される、あるいは表出するわけです。
とするならば、変性意識状態はなにも特別なことでもなんでもなく、我々が日常生活を送っている中で「当たり前に入ったり出たり」しているものだといえるのではないでしょうか。
とはいえ、何知らないあなたが「あなたは当たり前に変性意識状態に入っているのですよ」と言われても「そうなんだぁ」とは思ったとして理解も納得もできないでしょうから、今から具体的に考えてみましょう。
具体的な変性意識状態
変性意識状態の代表格ともいえるのが、いわゆる過集中、または心理学的にはフローと呼ばれる状態です。スポーツをされている方なら一度は耳にしたことのある単語だと思います。
特定の事象に没入し、周りの雑音が聞こえないか気にならなくなり、そのことだけに集中している状態と思っていただければ結構です。
言い換えれば、対象となる事象に必要な情報以外をカットし、反応速度が上がった状態とでもいいましょうか。
また、インナーテニスで世界的に有名になったインナーゲームのように「ボールの縫い目を見る」といった方法論も、一見すると何のこっちゃですが、実はプレイ中のパフォーマンスを上げるための、変性意識状態への導入として位置づけるならば至極納得がいきます。
例えば、イチロー選手のバッティング前の動作や、五郎丸ポーズで有名になったラグビーの五郎丸選手などが行ういわゆる「ルーティン」は、フロー状態に入るための予備動作として知られています。つまり、決まった動作を事前に行うことによって、フロー(集中力が増した状態)を人為的に引き起こし、反応や反射速度を(体感のレベルで)一時的に上げているのです。
なお、フローを推奨される方は、こんな素晴らしい手段があるのだから積極的にフローに入りましょうという考え方にややもすると陥りがちですが、変性意識の負の側面を知っている私としては、完全な同意はできかねるという立場をとりたいと思います。
もちろん、過集中やフロー状態までもっていけることは確かに素晴らしいですし、自身のポテンシャルを余さず利用できるという点においてフロー状態は有効に機能します。
ただし、それはネガティブ方向に行かない健全な状態が担保されたうえでの有効性であって、精神的にネガティブな方向に行きがちな人に安易にフローを勧められるものではありません。
スポーツの世界では、メンタルコーチが選手の精神状態に常に気を配っていますが、世間一般の我々が日常的に第三者からメンタルケアしてもらえるわけではありませんからね。
引き出せるのは保有しているポテンシャル
それから補足ですが、黒子のバスケなどにみる「ゾーン」みたいに、目から光が出てバケモノじみた力がでる、といったことは、残念ながら絶対にありません。
つまり、引き出せるのは自分自身がその時点で保有しているポテンシャルであって、そもそも自分にない袖はふれませんから、そこは過剰な期待を持たないよう、お気をつけください。
それでも、
興味ありませんか?
他の人が軽々しく出たり入ったりすることのできない
変性意識状態に
自分の意志で
入れるとしたら。